夜中布団の中で考えること

夜中に寝れなくなった時に考えたことをぽつぽつと書いていきます。専らやらなければならないことのメモ。

モテ期(6年ぶり4度目)

 昨日、モテ期とみられる現象が発生した。

 

 ケース①

 某ショップにて買い物中、石鹸を買いに売り場を訪れた私の横に50歳~くらいのマダム2人が並んでおもむろに話しだした。

「ねえ、これなんかどうかしら」

「でもこれ安いわ、何かあるんじゃない?」

 私は特に気にすることも無く、いつも使っている石鹸を買い物かごに入れた。そのまま同じ棚にある馬油配合のコンディショナーを品定めしていると、マダム2人の会話が耳に入ってきた。

「ねえ、あのおねえちゃんこの石鹸買ったわよ」

「これ良いんじゃないの? だってあのおねえちゃんが買ったわよ」

 その場にいる”おねえちゃん”に該当するのは、恐らく自分しか居ない。

「あらー、これお安いけど製造が◯◯よ! ◯◯!」

「ほんと! これは……ねえ、おねえちゃん」

 話しかけられた。

「この石鹸どうなの? いいの?」

「えっ、あっ、良いかどうかは……いつも同じ物使っているので、私は好きです……泡立ちも良いし、好きな香りで……」

 慌てて答えたので明らかに挙動不審だった。が、マダムたちは気にせずに石鹸を手にとって楽しそうだ。

「あらー、やっぱりいいのねぇ、おねえちゃんが使っているものね!」

「私も買おうかしら!」

「あ、この石鹸香りが強い方なので苦手でしたら…」

「いいのよ! 主人が加齢臭だからちょうどいいわ~」

 結局、マダム2人は石鹸を買っていった。嬉しそうに何度も「ありがとうね、参考にするわ! おねえちゃんが選んだ石鹸良さそうで嬉しいわ~」と言うのが印象的だった。

 果たして、私の一体どの辺りが良い石鹸を使っていそうな人に見えたのか、何度もおねえちゃんが使っているを強調されて恥ずかしい思いをしたものの、全くわからないままマダム2人との接触は終わった。

 

 ケース②

 某農協の直売所にて、南瓜を品定めしていると1人のマダムに話しかけられた。

「ねえ、この南瓜買ったことある?」

 私が見ている南瓜は、もともと大きめなものを傷んだ部分だけ取り除いてカットされたらしいものだった。

「いえ、1個買って消費できるか悩んでいるうちにこれを見つけたので……」

「そうなのー、私もねえ、1個は多いなって思っててね~」

「大きいと大味って言いますものね」

 先ほどのマダムとの出会いにより、少しコミュ力が鍛えられている。そんな気がした。私のトークの安定力に心のなかでガッツポーズ。

「そうなのよね~……あなた、南瓜はどうやって食べるの?」

 思ったより話が発展しそうだ。自分のコミュ力を呪った。

「最近は南瓜サラダが好きなのですが、冬なのでおとなしくそぼろ煮であったまろうかなと思ってます」

「そう、そぼろ煮もいいわよね~。 そうそう、うちではね、南瓜をほら、皮を取ってね。うすく……5mmくらいね、それくらいにスライスして、フライパンで焼くのよ」

 マダムの南瓜レシピの伝授が始まってしまった。しかし地味に興味があるので話を聞いてしまう……後ろでは主人が娘を重たそうに抱えている。

「フライパンで南瓜だけ焼いてね、そこに余っている野菜……今はないけど、ズッキーニとか、玉葱とかね。そこで一緒に炒めて。それで最後にお醤油をちょっと入れると美味しいのよ!」

「なるほど、素焼きにお醤油、美味しそうですね。玉葱をゆっくり甘く炒めて一緒に食べたら美味しそうですね~」

 私は大根おろしも添えてポン酢で食べよう、そう勝手にレシピ改変を心に決めて南瓜をかごに入れた。

「美味しいのよ~、やってみてね」

 そう言い残してマダムは立ち上がり、また店内へと戻っていった。ちなみにマダムは南瓜を購入しなかったようだ。なんだか釈然としない気持ちを抑えて私は帰宅した。

 

 ここ数日、このようなマダムモテ現象が各地で見られる。モテるから何があるわけではないが、いきなり話しかけられた時に挙動不審な言動をとることのないよう気をつけていこうと胸に刻んだのであった。